Q KD材とグリーン材などは、含水率がどう違うのでしょうか。
木材の含水率は木材の重さだけでなく、寸法の伸び縮み、強度、菌虫害の発生しやす
さなど、木材の使用に際して大きな影響を及ぼすことはご承知の通りです。最近では
建築資材としての木材利用を図る場合、この乾燥がいかに大切であるかについて、木
材加工に関わる者ばかりではなく、一般消費者の間にも強い要求の声が上がっており、
木材の需要開発のためには、さらに乾燥への注意が必要になっています。
 さて、製材したばかりの木は一般に生材に近い含水率を示しています。その数値は
針葉樹の辺材で100〜200%程度、同心材で30〜60%。広葉樹では全般に60〜200%程
度といわれております。この生材の状態では木材の強度は弱く、寸法変化も大きいと
いう性質をもっています。また一般に木材を大気中に長く放置しておくと、大気の温
度および湿度と平衡した含水率になります。これを平衡含水率といいますが、この数
値は地域、季節、使用環境などにより異なるものの、おおよそわが国では平均15%
(北米では12%)とされています。
 そこで、木材を乾燥させることが必要なわけですが、その方法によって、大きく分
けて天然乾燥(air dry)と人工乾燥(kiln dry=KD)があり、それらの方法をとらない
含水率の高いままの材を未乾燥材(green)と呼んでいます。一般にいうKD材、グリー
ン材とはこのことを指すのですが、これは人工乾燥の先駆者である欧米からの輸入材
につけられている呼称から、わが国でも一般化したものといえるでしょう。
 さて、KD材の含水率ですが、米国の木材製品の団体(WWPA)では、針葉樹の
含水率を鉋がけの状態で、S―GRNを十九%以上、S―DRYを19%以下、MC15
(含水率15%またはそれ以下の特定の数値にした材)と区分しています。 わが国で
は平成3年の7月から施行されています日本の針葉樹構造用製材のJASにより、と
くに強度と乾燥という点が重要視されています。これは空調設備の普及や機会プレカ
ットの導入などにより、人工乾燥が社会的な要求になってきたたためで、検討の結果、
乾燥材の含水率を25%、20%、15%の三水準とし、それぞれを「D25」、「D20」、
「D15」とすることが決められています。従って含水率25%以上の製材は未乾燥材、
グリーン材となるわけです。